第2章 遠い日の記憶
おばあちゃんの話を聞いてみても「愛する」ということはよく分からないけれど。きっと「すき」よりもすごいんだろう。そう思った気がする。絵本に出てくるかっこいいおうじさまやおうさまはどれもすきだった。けれども「あいする」人はきっとそれよりもずっとすごいんだ、と小さいなりに考えたのだ。
「その人はどこにいるの?はやく会いたいなぁ!」
そんな風に尋ねた私におばあちゃんはちょっとびっくりする。でもすぐにニコニコと笑った。おませさんね、と私の頬を優しくつつきながら。
「もしかしたらもう会ってる人かも知れないわ。でもここから凄く遠いところにいるかも知れないわね。」
「どこにいるのかおばあちゃんにも分からないの?」
「そうなの。ごめんなさいね。」