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大輪の花は刻を越えて咲く【イケメン戦国】

第2章 遠い日の記憶



「ねえ優希。優希の名前はね、遠い昔にいたお姫様の名前と一緒なんだよ。」
「え、ほんとうに?」

ちょっと驚いて上を見上げた私のおでこをゆっくりと撫でると本当だよ、とおばあちゃんは笑って答えた。

「そのお姫様はね、とても優しくてまっすぐで心の綺麗な方だったそうだよ。お殿様や家来の人、その国の人々みんなのことを心から愛する人で。だから皆もお姫様のことを心から愛していたそうだよ」
「おとのさまって?あいするってなあに?」
「お殿様っていうのはその国の中で一番偉い人のこと。愛するっていうのはね」
そこまで言っておばあちゃんはいたずらっぽく微笑みながら私の頬を撫でた。

「もう少し優希が大きくなったら教えてあげるわね。でももしかしたら、優希が自分で見つけるかもしれないわね。」
「そうなの?」
「そうよ。いっぱい食べたり遊んだり勉強して優希がもう少し大きくなっていくとね、色んな人に出会うと思うの。優しい人や強い人、かっこいい人や可愛い人にたくさん、ね。もちろん悪い人や怖い人にもその分たくさん会うと思うわ。」
でもね、そう言って言葉を切ると私の髪をゆっくりと撫でた。

「その中で本当に大切にしたい人がいるはずよ。一緒に笑ったり泣いたり時には喧嘩したりしながらも一緒に色んなことをしたいな、て思えるようなそんな人がね。」
それが優希にとって愛する人よ、そう言うとまたおばあちゃんはぎゅっと抱き締めてくれた。
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