第4章 めぐりあい
やっと自分の状況を理解した優希はばたばたと足を動かしながら顔を両手で覆い隠した。
「お、下ろしてください!!」
自分をじろじろと見上げたうえにいきなり暴れだした彼女に気を悪くすることもなく、男はそっと優希を地面に下ろした。僅かに悲しそうに顔を歪めながら彼は優希に声をかけた。
「すまない、怖がらせてしまったかな。」
刻まれた傷をそっと撫でる彼の仕草に優希は自分の発言が生んだ誤解に気づき、慌てて説明した。
「あ、違うんです!!目が覚めたらどこか打ったのかいきなり背中が痛みはじめて。それにおひめさ…貴方に抱えられていたのでびっくりして、そしたら急に凄く恥ずかしくなってしまったんです。」
重かったですよね、なんかごめんなさい。
そう言いながら顔を真っ赤にさせる優希に彼は少し驚き、そして微笑んだ。醜い傷をつけた自分を前にして素直に己の思いを伝える女子(おなご)を見つけたことや、ころころと変わる表情の豊かさに対する新鮮な驚き、そして自分を気づかうような言葉をかけてくれる優しさに対する嬉しさが彼をそうさせたのだ。