第4章 めぐりあい
ひんやりと、眉間の辺りに金属特有の冷たさを感じる。たった一点、たった一点に与えられたその冷たさと鼻につく金属特有の匂い。微動だにせずに目の前に突きつけられたそれの意味するところを理解した頭(かしら)は、強張った顔を真っ青にしていった。
金色の、見慣れない棒がそこにはあった。女に手を出そうとした仲間の肩にも置かれたそれ。先端は楕円とも真円とも言えぬ形に曲げられおり、その輪に幾重もの小さな輪である鐶(かん)が通されていた。月の光を受けたそれは妖しく光り、少しでも動けば頭(かしら)の目や鼻を今にも突き潰してしまいそうだった。僧や山伏、修験者が持つことを許された棒―錫杖(しゃくじょう)と呼ばれるその棒は大人の背丈よりも長く、決して軽いものではない。