第4章 めぐりあい
硬く、凹凸のある感触を頭(かしら)の指が感じ取った。短刀の柄を探り当てたことに気づいた頭は慎重に、まるで壊れ物に触れるかのようにゆっくりとその柄を握りしめた。
目の前で今もなお、何も言わずにたたずむ男の首筋を、頭は盗み見た。無駄な肉が一切なく、逞しさが感じられるようなそれを見つめて頭は口の端を上げる。上々だ。
上背(うわぜい)があるぶん、飛び掛かって高さを稼ぐ必要があるが問題はないだろう。抱きつくように飛びかかり、慌てふためく相手の首もとを短刀で掻き切る。うなじに覆うように右手を回せば後は楽だ。
深く、早く、確実に。
いつも通りに、やればいい。
すう、と鼻から息を吸い込む。夜の冷気が身体を満たし、感覚を鋭くしていくのを感じる。助走をつけられるように右足をゆっくりと後ろに下げ、そのかかとを浮かせた。柄を握った右手にさらに力を込める。
じゃあな、坊主。
来世とやらで、経でも唱えてろ。
そして