第4章 めぐりあい
厄介な野郎に会ってしまった。
明かりに照らされた彼を見た瞬間、
頭(かしら)は直感でそう感じていた。
自慢すべきことではないが、こんな風にこそこそと物盗りの真似事をしている以上、会いたくない奴に彼はたくさん遭遇したことがある。
自分達と似たような輩なら返り討ちにしてしまえばよかったし、強欲な山伏や盗賊に会ってしまったなら金目の物を適当に置いてすたこらと逃げてしまえばよかった。どんな奴かさえ分かっていればいくらでも対応は出来るのだ。
なのにこいつぁ、何なんだ。
自分達を見下ろし、いまだに一言も発しない彼の顔を見上げながら頭は必死に考える。
僧のような格好をしている彼はその着物の感じからしてきっと高僧であるだろう。じゃあ何故そんなお偉いさんがこんな山のなかを月の光もないこの夜に歩いているのだろうか。