第4章 めぐりあい
戦があらかた終わったあとに現れる彼らの狙いは金目になる物を奪うことだった。重なるように死んでいる兵を蹴飛ばすように仰向けにさせ、その刀や鎧をかっさらっていくのだ。『そういうもの』を買い取る店でまとめて売り払えば、決して高くはないが彼らが金を手にいれることは可能だった。
良いものにありつければにやにやと笑いながら奪っていき、何も身に付けていなければ唾をはきかけ、去っていく彼らはもとは皆、貧しい農民達だった。戦で田畑を焼かれ、住むところを追われた彼らにとってこれは『生きていくためには仕方のないこと』であった。
頭(かしら)らしき男が持つ松明が彼の周囲を照らした。進む道を遮るように生えている何の特徴もない木を感情もなく見つめ、ふとその根本に目をやった。
「おいお前ら、こっち来てみろ!!」
後ろにだらだらと歩きながらついてくる仲間を、頭は興奮を押さえきれない声で自分のもとに呼び寄せる。困惑の表情で自分をみる仲間に少し得意気になりながら彼は木の根本を指差した。