第4章 めぐりあい
冷たい風が木の葉を揺らしていく。
雲に覆われた空の下に、鬱蒼とした森がただただ広がっている。
月の光もない暗闇のなか、がさがさと耳障りな音をたてながら、『彼ら』は森のなかを進んでいた。
「ちっ、結局めぼしいもんは見つからなかったな。」
「諦めな。最近じゃあ死体から剥ぎ取るなんざ、皆やってるしよぉ。」
「そもそも死んだやつらも元を辿りゃあ、俺らと同じ貧乏人ばかりだ。取るもんは元々少なかったかもな。」
「ったく、勘弁してくれよ。俺らの食うもんはどうなるってんだ。」
ぼそぼそと話す声に合わせて、松明の先に灯る小さな明かりがゆらゆらと揺れる。その明かりに照らされた彼らは皆、薄汚く小柄だった。ボサボサと脂気のない髪や痩けた(こけた)頬を隠すように被られた手拭いは、彼らのぎらついた、獲物を狙うような目を隠すことは出来ていない。
あるものは錆びかけた刀を片手に、あるものは所々糸が解れた鎧を身に付けているがそれらは皆、彼らのものではない。