第3章 めざめ
そこまで見下ろしていた優希はあっ、と小さく驚いた。優希を見つめて穏やかに微笑む彼女の足首。白い布が覆うそこに黒く小さな点が無数についていたのだ。
さらに覆うものがなにもない足の甲やくるぶし、指先の辺りにうっすらと赤い筋が見える。ぷっくりと赤い粒が浮かんでいるところや、さらに下へと線を描くように赤いものが滴っているところは少なくなかった。
(武士みたいな格好をしてるけれど、この人は女の人だよね?)
(どういうこと?どうしてこんな格好をした人が、ここにいるの?)
(それにどうして裸足でいるの?あちこち傷だらけなのに痛くないの?)
それに、とそこまで考えた優希は強く手を握りしめる。丸く、短く整えた爪先が手のひらに食い込む感触が確かに感じられた。ゆっくりと指を伸ばせば柔らかな肌に、小さく弧を描いた線がいくつも刻み込まれていた。