第3章 めざめ
そのときおばあちゃんが重い病気にかかっていて、せめて最期を看取るためにと両親が呼び寄せ、同居していたのを知ったのはおばあちゃんが亡くなってかなりあとだった。
亡くなったすぐあとは大好きなおばあちゃんがいなくなったことがショックだった。ご飯すら食べずにずっと泣いていたり、自分をおいて遠いところにいってしまったことに対して酷いと思っていたり、と今思えば随分と両親を心配させるような行動ばかりしていた。
一緒に編み物したり買い物したりした楽しい思い出を思い出すことが何よりも辛かったのを覚えている。何も特別なことはしていない、けれどもどれも大好きなおばあちゃんと過ごしたかけがえのない時間であり、記憶だった。宝石のようにきらきらと輝くそんな思い出を、いつからか無意識に思い出すことを避けていた。思い出すことで甦る過去の記憶が、もう二度と紡げないものであると改めて理解することを拒否したかったからかも知れない。自分の置かれた現実に傷つくことを恐れたからかも知れない。
でも今思えば
そんな日々も含めてとても懐かしく、愛しく思える。