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第6章 ひとつ 吉太郎の語り ー焦げ白銀(しろがね)という雨垂れー



ほい、俺ン話ァこれで仕舞いだ。

長々すまかなかったな。退屈しなかったけえ?は、そりゃ何よりだゼ。長っ尻ァ嫌われるてなァよくわかンだけどよ、つい話し込んじまったえな。オメェさんが聞き上手なせいかいねェ?ええ?おだてちゃねェよ、ちっとばかし盛りィよくしてるだけサ。
はははは、そんな面ァすんない!真面目なトコ、雨垂れィ話なんざ聞いてくれて有り難ェと思ってんだ。

俺も誰かに聞いて欲しかったんだナ。ひろと焦ゲ、人と雨垂れン話、あの日ィ始まって、今頃ァどうなってるか知る術もねェ、こっち側じゃア終わっちまった話を。

ん?勿論俺ァ今ひとりだィ。言ったろ?雨垂れァそもそも連まねェんだって。
けどよ、何れ、もしかしたらの折にゃア吝さかじゃねんだ。
まっつぐな連れェ持つ事も、好いたヤツと居る事も。相手ァ何だっていンだ。雨垂れだって人だってよ。
それ以外のなンかだっていいサ。
俺ン気持ちさえ飛んで駆けてく相手なら。それがオメェさんでもおかしかない。
…おっと笑やがったな?馬鹿にすんなィ。
雨垂れン男だて、なかなか捨てたモンじゃねえ。試してみるかィ?
俺ィ走らせてみなィ。本気ンなったら十万億土の彼方まで、アンタん手ェとって走ってくゼ?


焦げ白銀ェみたようによ。へへっ。












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