第6章 運動会
トド松side
午後の部は全員参加の綱引きから始まった。
僕達は綱の両サイドに並んだ。
カラ松兄さんの横に一松兄さんその後ろに十四松兄さん少し間を開けてチョロ松兄さん、その後ろに僕、隣におそ松兄さん、僕の後ろに高田さんって人がいる。
「君は何松君?」
後ろから声を掛けられ振り返った。
「えっと、末弟のトド松です」
「君も一松君と一緒で少し他の兄弟と雰囲気が違うね?なんか可愛い」
「あはは、そうですか~?」
そんなやり取りをしていると綱を握る合図のピストルが鳴る。
僕達は喋るのを止めて綱を掴んだ。
そして、二度目のピストルで一気に力を込める。
掛け声とともに力を込めるけどずるずると引きずられた。
と思ったら不思議なことに急に負荷が軽くなり一瞬だけど後ろに下がった。
その急な動きについていけなくて僕の体は後ろによろめく。
すると後ろから誰かが覆いかぶさってきた。
「ぅわっ!」
思わず声を上げると耳元で聞き覚えのある声がする。
その声の主は僕の後ろにいた高田さんだった。
「大丈夫?危ないから気を付けて?」
振り返ろうとしたが触れてしまいそうなくらい至近距離に顔があるのに気づき僕は固まった。
(な、何なのこの人!?)
僕はゴルフとかでよくあるセクハラみたいに後ろから体を寄せられて共同で綱引きしてる感じになっていた。
おそ松兄さんの方を見るとおそ松兄さんも状況が読めないのか目が点になっていた。
だけど直ぐにいつものへらへらとした顔をして掛け声にかき消されないくらいに声を張る。
「高田さんだっけ?こいつもちゃんと大人だからさ、そこまでしなくていいよ?」
「あ、ごめんねっ!気持ち悪かったよね?」
そう言って高田さんは僕から離れた。
僕はおそ松兄さんにありがとうと視線を送る。
おそ松兄さんはにかっと笑っていた。