第1章 悪夢
ガタガタガタンッ!
悲鳴とともに机と椅子がぶつかる音が響き渡った。
どうやら奴らの一人がカラ松に殴り飛ばされたらしかった。
すると、隣のクラスからもなんだなんだと野次馬が集まってくる。
「ちょっ、ちょっと!カラ松!!?」
野次馬に紛れてたらしいチョロ松兄さんが慌てて入ってくる。
チョロ松兄さんがカラ松を後ろから羽交い絞めにするけどカラ松の力を押さえることはできなさそうだった。
俺も慌てて止めに入った。
「カラ松兄さん、もういいよ!」
それでも興奮しているカラ松兄さんは止めれそうになかった。
気の短いカラ松はこれまでも兄弟のことになると手が付けられないほどブチ切れることはあったが、これまでに見たことないほど額に血管が浮き出、体をわなわなと震わせている。
「チョロ松っ離せ!!お前もぶっ飛ばされてーのかぁ!!」
そう言ってカラ松はチョロ松兄さんを振りほどいた。
振りほどかれ床に叩き付けられてしまったチョロ松兄さんが廊下に向かって叫んだ。
「おそ松兄さん!カラ松止めて!」
すると面倒くさそうに野次馬の中からおそ松兄さんが現れる。
「いいじゃん、見てて面白いし?そんだけ怒ってるんだからカラ松にも何か理由があるんでしょ?」
「理由があってもこれはまずいよ!殺しちゃう!」
おそ松兄さんは、はいはいといいながらカラ松の正面に回り込むと両手のひらをカラ松に向けてまあまあと落ち着かせるようにして視線は後ろに向けて問う。
「あんたら俺の可愛い弟に何したの?カラ松がこんだけ怒ってるってことはよっぽどでしょ?殺されちゃうからやめといた方がいいよ?今回はさ、俺が止めてあげるけど・・・」
おそ松兄さんがくるりと振り返る。
「次は俺も参加させてもらうから」
俺達の方からおそ松兄さんの表情は見えなかったけど奴らの表情がひきつったのは確かだった。