第6章 運動会
俺達がわいわいとやっていると後ろから一松を呼ぶ声が聞こえた。
「一松君っ、やっと見つけた!皆待ってるよ!?」
その声に一松がガバッと立ち上がる。
「やっばっ!」
「あ、一松兄さん次、騎馬戦だよ!」
一松を呼びに来た男の人が一松の手を引いて走り出す。
それを物凄い形相で見てるカラ松を俺は見逃さなかった。
「カラ松ぅ~?」
「あぁ?」
「お~、怖!お前たち夫婦は妬くと怖くていかんねぇ~。減るもんじゃないしいいじゃんあのくらい」
するとグイッと胸倉を掴まれる。
「うわっ!」
「ちょっ、カラ松何やってんの!?おそ松兄さんも何したんだよ!」
チョロ松が止めに入って、カラ松もすぐに俺から手を離した。
「すまない・・・」
ばつが悪そうにカラ松はどっかに行ってしまった。
「おそ松兄さん、何があったんだよ!」
「別に大したこと言ってないんだけど?一松があの男の人に手を引かれて行ったのをカラ松がすげぇ怖い顔して見てたからあのくらいいいだろって言ったらさぁ」
俺は口を尖らせて言う。
すると十四松が立ち上がってカラ松の後姿を見ながら
「この前喧嘩した原因の男の人ってあの人かな?」と言った。
「ん?この前の喧嘩?」
十四松が一松から聞いた話では、騎馬戦で組んだ高田という男の人にカラ松が妬いたのが原因だったらしい。
「しかしさ、確かにあそこまで怒る話じゃないよね?」
十四松の話にチョロ松とトド松が顔を見合わせる。
確かに俺も異常だと感じた。
「僕たちの知らないカラ松兄さんの一面なのかな?一松兄さん大変だね」
トド松は心配しているようだ。
「俺、ちょっとカラ松の様子見てくるわ」
「喧嘩だけはやめてよ?」
俺はチョロ松に大丈夫という意味で振り向かないまま手を上げてカラ松の後を追った。