第6章 運動会
おそ松side
カラ松にお姫様抱っこされるトド松は顔を真っ赤にしている。
そして俺の横では一松が俯いている。
あ~りゃりゃ、妬いちゃって。
一瞬声に出しそうになったが俺もまだ死にたくはないので必死で堪えた。
カラ松はいくら細いとはいえ大の大人のトド松を本当に軽そうに抱っこして走っている。
二人三脚の走者も抜いて一位でゴールしていた。
封筒を持ったトッティーとカラ松が戻ってくる。
「トド松、カードにはなんて書かれてたの?」
「・・・・・・・・・・・・」
トド松は頬を膨らませてぷいっと顔をそらしてどかっと座り込んだ。
「おい、トド松そこまで嫌がらなくても・・・」
涙目になるカラ松にカードに書かれてた内容を聞くと鼻をぐすんと鳴らしながら言った。
「サングラスをかけた人にお姫様抱っこしてもらうと書かれていたんだ・・・」
周りを見渡したが十月だし、日差しも落ち着いていてサングラスをかけている人は見当たらなかった。
「こりゃ、カラ松に頼るしかないよな」
チョロ松がトド松の肩をポンポンと叩いて励ましている。
「でも、よかったじゃんトド松、商品券貰えたんだろう?」
「500円分のね!」
トド松は商品券を不機嫌にひらひらさせる。
「いらないならお兄ちゃん貰っちゃうよ?」
するとサッと商品券を隠した。
「それは何か嫌だ・・・カラ松兄さん、ありがと。ジュース奢るよ」
「気持ちだけで十分だ、トド松の好きに使えよ」
ホント、お人よしなんだからうちの次男は・・・
足元を見ると一松が膝に顔を埋めてしゃがみこんでいた。
これ以上この話はよした方がよさそうだ。
・・・俺もなかなか優しいお兄ちゃんだよね?
「たっはー!」
俺は額に手を当てて自分のやさしさに参っていた。