第6章 運動会
一松side
借り物競争が始まる。
トド松は順番待ちの間緊張している様子だった。
「何あのトド松の顔、引きつってない!?」
「ひゃっはー、ありゃ完全に上がっちゃってるね」
やがて順番が来て、皆同時に走り出す。
物凄く足の速い走者がダントツでカードの前に到着した。
その走者はカードとその下に置いてあった紐を手に取ってすぐ傍のテントに向かった。
あの紐は何だろう?と思っているとやがて、五歳くらいの女の子と並んでテントから出てきた。
走るというより歩いているその足元を見ると走者の右足と女の子の左足がさっきの紐で縛られていた。
二人三脚しているようだ。
女の子は走者の足くらいの身長しかない。
あれでは自慢の足も何の役にも立たないだろう。
「あれ?トド松こっちに走って来るよ?」
チョロ松兄さんの声に珍しい二人三脚に目を奪われていた俺達はトッティーを探す。
トッティーは少し困った顔をして俺達のもとにやってきた。
そしてカラ松の手を取る。
「んっ!?な、何だトド松!?」
「いいからっ!!」
恥ずかしそうな顔をしながらぐいぐいとカラ松の手を引いてカードを取った位置まで戻るとカラ松にカードを見せた。
そして俺達は声を上げることになる。
カードを見たカラ松はひょいっとトド松をお姫様抱っこして走り出した。
「うわっ、うっそ・・・」
哀れむ顔をするチョロ松兄さん。
・・・それ俺に失礼だから、ヒヒ
トド松を抱えたカラ松が俺達の目の前を駆け抜けていく。
俺は見ていられなくて目をそらした。
なんだろう・・・この感情。
俺、妬いてんの?
そんなはずはないと言い聞かせるけど、俺の心臓は煩かった。