第6章 運動会
「うんまー!」と叫びながら真っ白の顔で次の障害物へ向かう十四松兄さん。
物凄い逆転劇に会場は大盛り上がりだ。
次が最後の障害物になる。
トラックには長机があり、お玉とピンポン玉が並んでいるようだ。
十四松兄さんはそのお玉にピンポン玉を載せて走り出した。
いつも通り走り出す十四松兄さん。
もちろんピンポン玉はお玉から落ち、コロコロと観客席に転げていく。
ピンポン玉を落としたところからやり直しだ。
十四松兄さんは三歩進むごとにピンポン玉を落とす。
それを見て僕達は再び大爆笑だ。
「十四松、学習しろよ~」
「フッ、落ち着きのないブラザーだ」
「同じ顔にあそこまでバカやられちゃ見てるこっちが恥ずかしいわ!」
「あ、追いつかれた・・・」
「もーうっ、十四松兄さん落ち着いてぇ~!」
十四松兄さんはネコ目でピンポン玉をにらみつけ、そろりそろりとゴールした。
結果は最下位だった。
僕らの元へ戻ってきた十四松兄さんを皆がいじっている。
でも、十四松兄さんは楽しかったようでにこにこしていた。
「十四松兄さん、一位は取れなかったけど、MVP狙えるかもよ?」
「トッティー、それ本当!?」
どうやらMVPはいくつかの部門があって、会場を一番盛り上げてくれた人に贈られるものもあるらしかった。
僕は喜ぶ十四松兄さんに兄さんの分も頑張って来るねと言って借り物競争に出るために入場門に向かった。