第6章 運動会
10月××日
トド松side
運動会当日。
早朝、僕と一松兄さんは皆を起こさないように台所へと向かった。
運動会はお昼を跨ぐからお弁当を作ることにしたんだ♪
「一松兄さんはこの前料理教室で練習した唐揚げをとりあえず作って?」
「わかった」
頑張って一松兄さん!
一松兄さんの様子を窺いながら僕も他のおかずを作る。
三十分ほどして一松兄さんの唐揚げが出来上がった。
「トド松、味見してみてよ」
「いいの?じゃぁ、いただきます!」
もぐもぐ・・・
「一松兄さん完璧だよ!すっごく美味しい!」
「よかった・・・」
一松兄さんはほっぺを少しピンク色にしてにこにこしながら唐揚げに猫型のピックを六本さしている。
きっとカラ松兄さんのこと考えてるんだろうな。
こうやって見てると本当に普通に恋人のいる女の子と変わんない。
前にカラ松兄さんがゲイではない、たまたま好きになったのが兄弟で男だっただけだって言ってたの聞いて、トランスジェンダーではないけど同性と付き合うってどんな感じだろうと思ったけど案外違和感はないのかもしれないと一松兄さんを見ていて思った。
でも、一松兄さんから見たカラ松兄さんってどうなんだろう?
流石に可愛いなとかは思えないよね?
格好いいなって思うのかな?
そんなことを考えていると居間から声がする。
「おはよう、すごくいい匂い」
「あ、チョロ松兄さんおはよう!」
「おはよ」
「トド松、お弁当作ってんの?」
チョロ松兄さんがテーブルの上のお弁当を覗き込む。
「わぁ、唐揚げ美味しそうだね?」
「それ、誰が作ったと思う?」
僕が聞くとチョロ松兄さんがもしかしてと一松兄さんの方を見る。
「チョロ松兄さんも味見してみてよ」
僕は余っていた唐揚げに爪楊枝を差してチョロ松兄さんに渡した。
「んっ!凄いよ、一松!これなら余裕でカラ松の胃袋掴めるよ!」
一松兄さんは照れ隠しか僕に次の指示を仰いできた。
「じゃあ、ウインナー切って焼いてくれる?」
実は料理教室の先生にお弁当を作りたいからと簡単なタコさんとカニさんウインナーの作り方を教えてもらっていた。
一松兄さんはぎこちないながらも一つずつ丁寧にウインナーに包丁を入れていく。
チョロ松兄さんは横でフルーツを切りながらそれを見守っていた。
カラ松兄さんの反応が楽しみだな♪