第6章 運動会
十四松side
やきう終わって家に帰る。
玄関先で誰かの視線を感じた気がしたけど誰もいなかった。
家に入って着替えを済ませて居間に向かった。
そこで僕は異変に気付いた。
一松兄さんがいない。
「カラ松兄さん、一松兄さんは?」
「さあな」
カラ松兄さんは機嫌が悪いらしい。
もしかして・・・
僕の頭を一つの考えが過ぎったと同時に同じことをおそ松兄さんが口にする。
「何、カラ松お前まさか一松と喧嘩したの?」
「・・・・・・・・・」
無言ということは図星なんだろうな。
外はもう暗くなっている。
おそ松兄さんは、一松も子供じゃないんだしそのうち戻るでしょと言っているけれど僕はたまらなく心配になって探しに行くことにした。
「皆、先に食べててよ!僕、一松兄さん探してくる!さっき、玄関先で誰かの視線を感じたんだ、一松兄さんだったのかも!」
すると、カラ松兄さんが持っていた箸をカチャンと音を立ててテーブルの上に置いて立ち上がった。
「十四松、すまない・・・俺が行く」
カラ松兄さんは通りすがりに僕の肩に手を置いてありがとうと言って玄関に向かった。
きっと、カラ松兄さんもものすごく心配してて、喧嘩したことも悪いと思っていたんだろうなって思った。
意地っ張りは僕達六つ子の唯一の共通点なのかもしれない。
僕はカラ松兄さんの後を追って外に出た。
家を出ると何やら話し声が聞こえる。
「・・・ない」
カラ松兄さんの声?
僕はそっと門から顔を出す。
そこには家の塀の前で抱き合うカラ松兄さんと一松兄さんがいた。
僕は慌てて引っ込む。
「本当にすまない、一松!」
「く、苦しいんだけど・・・」
「お前に冷たい態度をとってしまった!」
「いいよ、もう怒ってないから」
「本当か!?」
「だって・・・妬いて、くれ・・・たんでしょ?」
「気づいてたのか?」
「ついさっきね・・・」
少しの間が空いた。
「一松、キスしてもいいか?」
「見られるかもしんないから一回だけね」
僕は何だか恥ずかしくなって慌てて家に入った。