第6章 運動会
一松side
俺たちは赤塚商店街運動会の作戦会議に来ている。
赤と白の2チームに分かれているらしく俺達は白組らしい。
競技ごとに別れて作戦会議が始まった。
騎馬戦は一騎に四人必要だからまずそのグループを作ることになった。
俺のグループは顔見知りの酒屋のおじさんと居酒屋のおじさん、見かけない顔の高田っていう三十代くらいの男の人だった。
高田さんは気さくに話しかけてくれたからグループとしてはやりやすくて安心した。
「高田君、この松野君はね世にも珍しい六つ子なんだぞ」
「えええ、六つ子ぉっ!?本当に!?」
「え、あ・・・まぁ」
酒屋のおじさんがおそ松兄さんやカラ松を指さす。
「同じ顔があと三人居る。中でも一松君は分かりやすい方だな?」
俺の肩をばしばし叩きながら居酒屋のおじさんが言う。
・・・どういう意味?フヒ
グループを決めた後は役割分担をした。
俺は一番軽そうだからというよくある理由で上に乗ることになった。
ガタイの良い酒屋のおじさんが土台の前、左後方を居酒屋のおじさん右後方を高田さん。
騎馬戦は危険を伴うから外に出て騎馬を組んで動き回ったり他のグループと頭の鉢巻きを取り合う練習をする。
俺は居酒屋のおじさんと高田さんの腕にまたがる。
三十分程練習した。
解散した後、俺は尻の右側を擦る。
長い事またがっていたのと、多少は生じる身長差からか高田さんの腕がぐいぐいと尻を押し上げてくるから痛かった。
「一松っ、何かされたのか!?」
すごい勢いでカラ松が俺の肩を掴み、べたべたと俺を触りながらあちこち確認する。
俺はカラ松のつむじに一発お見舞いする。
「人見てるから・・・それに何もされてないし」
俺は尻を擦っていた理由と経緯をカラ松に話した。
ほっと溜息をついてカラ松は俺の腕を引く。
「他の競技はとっくに練習終わって帰ったみたいだぞ?俺達も帰ろう」
気が付くと周りは騎馬戦とリレーに出る人間だけになっていた。
カラ松も結構走り込んできたのか汗をかいている。
「たかが商店街の運動会にえらく頑張るんだね、ヒヒ」
「もちろんだ!一松に格好いいところを見せたいからな!」
俺は家の前でおそ松兄さんと走るカラ松の姿を思い出した。
赤面するのを見られたくなくてカラ松の一歩前を熱が引くまで抜かれないように歩いた。