第5章 十五夜のうさぎ
チョロ松side
台所で僕が洗った食器をおそ松兄さんが拭きながらぼやく。
「なんか俺達だけハズレ籤じゃね~?片づけって・・・」
「いいじゃない、たまには相棒と出かけたいんでしょ?十四松もトド松も一松も嬉しそうだったよ?」
「カラ松は一松と離れるの寂しそうだったな」
そう言ってケタケタと笑う。
「十四松は一松と野球とかランニングとか行けてない、トド松もカラ松との絡みも買い物に行く機会も減ったみたいだったし・・・二人とも気の合う兄さんと遊べなくて寂しいんだよ」
「ま、そのうち慣れるだろ?でも、カラ松はまだいいけど一松にリア充顔されんの腹立つんだよね!あの一松がだよ!?幸せいっぱいの顔しちゃってさ、俺がAV見ようとしてたら哀れみの目で見てくるし~」
おそ松兄さんはブーブーいいながらもどこか嬉しそうだった。
食器洗いと準備が整って、二人でテレビを見ながらゴロゴロしていると十四松と一松が帰ってきた。
十四松はよほど楽しかったのかいつもよりテンション高めだ。
「ただいマッスルマッスルー!ハッスルハッスルー!ススキ取ってきましタイムリー!かーらーのードゥーーーーン!!!!」
居間の襖をぶち破って頭から十四松が突っ込んできた。
「ちょっと、十四松何やってんの!!」
「ご、ごめんなさいっ」
僕が十四松を叱る横でおそ松兄さんは外れた襖を取付け、一松は散らばったススキを拾っている。
「もー、久しぶりに一松と外に出れて嬉しかったのは分かるけどはしゃぎ過ぎで家がぶっ壊れたらたまんないだろ!それに、一緒に出掛けたいときは出かけたいって言ったらいいじゃないか、なぁ一松」
一松はススキを拾い終え、十四松の横にしゃがみ込む。
「そんなに気使わなくていいよ、十四松。俺もお前といるの好きだから」
そう言って十四松の頭を撫でる一松。
やっぱりお兄ちゃんなんだなと感心した。
十四松も涙を拭いて大きく頷く。
そこにトド松とカラ松が帰ってきた。
「うっわ、何なの!?襖破れてるし散乱してる白いのは・・・ススキの綿!?」
僕はたった今の出来事をトド松に説明しながら団子の材料をカラ松から受け取った。
「も~、十四松兄さんってば。そうだ、あとはお団子作るだけだし十四松兄さん体力有り余ってるでしょ野球しておいでよ?」
僕達は満面の笑みの十四松を見送った。