第5章 十五夜のうさぎ
トド松side
僕達はお互いの相棒がお付き合いを初めてから少し寂しい思いをしている。
だから今日の役割分担を決めた僕は、十四松兄さんは一松兄さんと僕はカラ松兄さんと出かけられるようにしたんだ。
十四松兄さん、今頃一松兄さんと楽しくやってるかな?
そんなことを思いながらカラ松兄さんに目をやった。
カラ松兄さんは底の厚いブーツを履いていて、僕はぺたんこ靴だからかほんのちょっと目線を上げる感じになる。
この感じも久しぶりだな~とすこし顔がほころんだ。
すると、視線を感じたのか振り向いたカラ松兄さんと目が合う。
「どうした、トド松?」
「うん、こうやって一緒に歩くの久しぶりだなと思って」
「そうだな、一松と一緒にいる時間が増えたからな・・・俺との時間が減ってロンリーかトド松?」
そう言ってサングラスを少し下げキラッキラの瞳を見せてきた。
僕はあとすざりして「イッタイ!」と自分を抱きしめる様にする。
「どうしたトッティーどこか痛むのか!?あぁ、俺はギルトガイ!近付くもの全てを不本意に傷つけてしまう!」
「もういいからそういうの!」
そう言いながらもこういうやり取りも楽しんでいた。
スーパーに向かう途中、お互いの好きなブランドのショップに寄り道をした。
以前は時々こうやって二人で買い物に来た。
久しぶりにカラ松兄さんに服のアドバイスを求められて凄く嬉しく思う。
「カラ松兄さん、これなんかどう?」
僕はいつものカラ松兄さんとはイメージの違うネイビーのニットジャケットをカラ松兄さんに宛がう。
「いつもと感じが違うけど、ギャップってやっぱりドキッとするものだし一松兄さん喜ぶかも!」
「そうか!」と言って鏡の前で確認している。
顔が緩みまくっているのを見て「リア充め!」と叫んでやりたくなった。
「サンキュートド松、この服にするぞ!」
「うん、悔しいけどすごく似合ってた」
そういうと嬉しそうにレジに向かった。
僕もそれが嬉しかった。
「カラ松兄さん・・・」
「ん?」
僕は少し恥ずかしいのと一松兄さんに悪いなと思うのとで少し俯いておずおずと口を開く。
「またカラ松兄さんと買い物来たいな」
するとカラ松兄さんはいつもの優しい笑みで答えてくれた。
「もちろんだ、ブラザー!」
変わらないカラ松兄さんに不覚にも目頭が熱くなった。