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【おそ松さん】色松恋物語(BL長編)

第1章 悪夢


俺は震える手でクロを段ボールに寝かし、シロとトラを探すため基地を飛び出した。
心臓がバクバクと痛いほどなっていた。
あたりを見回したけど見当たらない。
俺は基地の裏手に回るため走り出した。


ぐにっ・・・


駆け出した直後、足に柔らかい感触がした。
恐る恐る足をのける。


俺は声にならない声をあげ、無我夢中で地面を掻いた。
地面から山吹色のしっぽがだけが見えていた。
小さな体を掘り出すのにそんなに時間はかからなかった。
いったい誰がこんな事・・・
やり場のない怒りが雫となって頬を伝った。

しかし、泣いてばかりもいられない。
まだシロの姿を見つけていない。
俺はトラを抱き、ふらふらと基地の裏に向かった。



そして、一番変わり果てた姿になったシロを見つけた。
真っ白の毛を真っ赤に染め、愛らしい顔は松の葉に串刺しにされていた。




「う、うわぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!」



ひとしきり泣いた後、一刻も早くシロを下ろしてやらなくてはと震える手でぶら下がる小さな体を松の葉から引き抜く。
涙で霞む視界の中、シロの顔に残った葉を取り除いた。


俺は基地の中に戻り、二匹を抱きしめた後、クロの隣に寝かし、その横に座り込む。


そういえば、皆来ないな
今日もここで待ち合わせしようって話したのに。
外に視線をやった。
すると、皆が歩いてくる姿が見えた。
俺は泥と血で汚れた手で段ボールを抱え、皆の元へ走った。

「皆・・・クロとシロとトラが」

皆は俺の手を見て後ずさった。
そしてそのうちの一人が言った。

「松野、よく猫の死骸なんか触ったな?気持ちわりー」

「え?」


俺は段ボールの中の三匹と皆を交互に見た。
俺と皆の身長はあまり変わらない。
そして俺と皆の距離は三メートル以上は離れている。
その位置から俺の抱える段ボールの中身が見えるとは思えなかった。


「やめてやれよケント~、猫がこいつの唯一の友達なんだから助けて当然だって」
「その唯一の友達やっちゃおうって言ったのは誰だよ?」

そう言って皆はゲラゲラと笑って去っていく。
全身が怒りで震えた。
俺は段ボールをゆっくり地面に置くと震える拳を力いっぱい振り上げて走り出した。




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