第4章 二人のカタチ
「お前、変わったよね」
にっこり笑うおそ松兄さん。
俺はどこが変わったんだろうと眉を寄せた。
「なんか、柔らかくなったっていうかさ。それに、うなされなくなったよね~・・・
カラ松に告白されてから」
俺は、はっとした。
確かにいつもなら二週間おきくらいに見るのに最後にあの夢を見てから一ヶ月は経っている。
しかも、夢にうなされることもそのスパンもおそ松兄さんが知っている事にも驚いた。
「カラ松さ優しいだろ、あいつなりにお前の事考えて兄弟だし恋愛感情を隠した。でもさ兄弟愛だけじゃなくて特別な愛情も一緒にお前に注げられたらお前を救い出せるかもしれないって俺は思ったわけ・・・さあ、そろそろ俺もお邪魔だろうし先帰るわ」
そう言って空になったビールの缶をゴミ箱に放り投げ去って行った。
その姿を目で追う。
するとおそ松兄さんの前方から誰か歩いてきた。
「カラ・・・松?」
「悩みは解消したか?」
困ったような笑みを浮かべるカラ松。
「微妙」
「そうか」
カラ松は小さく笑った。
そして俺に手を差し伸べる。
払いのけるために出した手を俺はひっこめた。
こんな俺に愛想つかさずにかまってくれるこいつに
悪夢から俺を救い出してくれたこいつに
こんな事できない
俺は、どうしたい?
俺はカラ松の手を握った。
家に着くまでその手を放さなかった。