第4章 二人のカタチ
銭湯の帰り。
俺は絵に描いた様な体制でコーヒー牛乳を飲むおそ松兄さんに話があると一言告げた。
すると、気を利かせて早々に準備をし、俺を呼んでくれた。
「一松~、コンビニ寄るから付き合ってよ」
「うん」
俺はおそ松兄さんを追って銭湯を後にした。
自分の頭の中が整理しきれなくて言葉が出ない。
黙り込む俺におそ松兄さんが先に口を開く。
「何か悩み?」
「悩みっていうか・・・いろいろありすぎて頭の中が整理できない」
「時間かかりそうだね~」
そう言ってコンビニに入ってビールと酎ハイを一本ずつ持ち、レジに向かった。
コンビニを出ると、すぐ傍の公園にやってきた。
おそ松兄さんはブランコに座るとがさがさと袋から酎ハイを俺に手渡す。
「ありがと」
俺もブランコに座りプシュッとプルタブを上げ、喉を鳴らして半分くらい一気に飲んだ。
口の端に垂れた酎ハイを手の甲で拭う。
「いい飲みっぷり~、そんな飲み方して大丈夫?」というおそ松兄さんの言葉を無視して、両手の中に収まる缶を見つめながら口を開いた。
「何でカラ松に俺のことおとせって言ったの?」
おそ松兄さんはきょとんとこちらを見ているようだった。
そしてブランコに座ったまま少し後ろに下がり足を地面から離す。
キーキーというブランコのチェーンの音が響く。
「俺さ、お前にもっと笑ってほしいんだよね」
意外な言葉とそれがどうして俺を落とさせようという考えに至るのかわからなかった。
また俺の頭の中に情報だけが増えていく。
とりあえず聞きに徹することにする。
「でもお前の闇深すぎてさ~、お兄ちゃんカラ松みたいに冷たくされるの悲しくて耐えられないし手を拱いてたわけよ。でもさ、カラ松は違った。どういうわけかお前がに酷い扱い受けるようになっても変わらずお前に優しく明るく接する。そんな姿見てて思ったんだよね、お前を救えるのはカラ松だけなんじゃないかって」
そう言っておそ松兄さんは地面に足を付けズザザザとブレーキをかけた。
そして俺の顔を覗き込んでいるようだ。
「カラ松がお前を落としにかかってからさ・・・」
そこで言葉が止まる。
俺はどうしたのかとおそ松兄さんの方を見た。
そして目が合う。
心の奥を見透かすようなおそ松兄さんの目から視線が離せなかった。