第4章 二人のカタチ
一松side
皆の前で告白したことを思い出すととても皆といられなくて二階へと逃げてきた。
だけど数分して階段を上る音が聞こえる。
・・・あぁ、どんな顔してたらいいの?
もう、拷問でしかないんだけど。
俺はとりあえず一週間近く行っていない路地裏に向かうことにした。
餌を準備していると襖が開く。
「一松、猫のところへ行くのか?一緒に行っていいか?」
「病み上がりだろ、一人で行くよ」
「ずっとベットの上だったから動きたいんだ」
「好きにしたら」
そんな愛想のない返事にも目を輝かせるカラ松に少し恥ずかしくなって、せっかく引いていた顔の火照りが再び起きる。
俺はそれを隠すようにうつむいて足早に階段を下りる。
その勢いに階段を上っていた皆はササッと階段の端に寄った。
「おーい、一松っ危ないっしょー!」
俺はおそ松兄さんの言葉にも振り向けずそのまま玄関に向かった。
外に出ると少ししてからカラ松がやってきた。
黙って俺の横に並ぶ。
「恥ずかしいか?」
「当たり前でしょ・・・男同士な上に兄弟だよ」
正直、こんな異様なカップル世界中探したって居ない。
「それでも、ブラザー達は俺達のことを応援してくれている・・・それで十分じゃないか?」
「心の中じゃ引いてるかもよ・・・ヒヒ」
「ん~~~、だったら俺に一松をおとせなんて言わないと思うがな?」
俺は思いもしない内容に立ち止まった。
どうしたとカラ松も止まって振り返る。
「え?何、それ・・・どういう事?」
「ああ、言っていなかったな。おそ松とトド松は随分前から俺が一松の事を好きなことに気づいていたらしくてな。少し前におそ松にそう言われたんだ。」
俺の頭はパンクしそうだった。
付き合うってだけでもかなり脳みそ動かしてるのに・・・情報量が多すぎる。
俺はふらふらと再び歩き出した。
脳内はぐるぐるといろんな情報が回り続ける。
だけど一向に整理できなくて、結局家に帰るまで考え事しててせっかく猫に会いに行ったのに心ここにあらずだった。