第3章 勇気
おそ松side
俺はトド松と二人カラ松達のテントの前で耳を澄ませていた。
「俺、そういうの無理だから。っていうか兄弟としても俺がお前のこと嫌いなの知ってるでしょ?・・・ヒヒ」
声を上げそうになったトド松の口を慌てて塞ぐ。
かなりショックを受けているようだったのでとりあえずトド松を連れて自分たちのテントに戻った。
「一松兄さん、あんないい方しなくてもいいのに!」
「トド松、落ち着けよ」
「落ち着いていられるわけないでしょ!?だって、カラ松兄さん何か悪いことした!?」
俺はトド松の肩を掴んで軽く揺さぶる。
するとトド松もしゃべるのを止めた。
俺はトド松の頭をポンポンと撫でてやる。
「あの程度でへこたれるカラ松じゃない。カラ松の事はお前が一番わかってるだろ?」
トド松の目から涙がこぼれた。
「なになに?カラ松のために泣いてるの?」
するとトド松は首を振る。
「・・・笑わない?」
俺は頷いて見せた。
するとおそるおそる話し始める。
「僕、カラ松兄さんと一松兄さんの事本当に心から応援してる。」
それはそうだろう、テントなんかの予約、ここまでの経路の下調べなんかは全部トド松がやったことだ。
応援してない限りこんな面倒なことはできないだろうと思い俺は頷いた。
「でもね、本当は応援したくないなんて思う時もある。だってね、僕寂しいんだ・・・ずっと一緒だったカラ松兄さんを取られた。」
珍しく俺の前で弱みを見せるトド松に正直驚いた。
一番甘えん坊の末っ子。
一番優しくて面倒見のいいカラ松。
いいコンビだった。
だからこそカラ松が相手してくれる機会が減った時の喪失感は大きかったんだろうとすこし可哀想になってきた。
「お兄ちゃんじゃ代わりになんないかもだけど・・・」
俺は両手を広げてトド松の前に構えた。
少し恥ずかしそうに飛び込んできた甘えん坊の頭を撫でてやる。
すると、外からじゃりっと足音が聞こえる。
テントの外に顔を出すとカラ松の姿があった。