第20章 6人旅(旅行編)
一松side
チョロ松兄さんとトド松が部屋に戻った後、おそ松兄さんは木に向かって手をかざした。
すると、おそ松兄さんの手の周りの空間が歪んでいるように見えて、そこにバチバチっと電気が走った。
俺が何もできずにそれに見入っていると、十四松に肩をトンと叩かれた。
十四松はおそ松兄さんがやっているのと同じように手をかざして俺ににっこりと笑顔を向ける。
「僕達も加勢しまっせ!」
「か、加勢って言われても・・・」
おそ松兄さんと違って人間の俺にも猫又の俺にもそんな力はない。
十四松だってそうだ。
自分の両手を見つめていると十四松にぎゅっと握られた。
「大事なのは気持ちでっせ、一松兄さん!ほらほら、こうやって手をかざして!」
俺は言われるまま手をかざした。
「こ、こう?」
「そうそう、いい感じ!そして、ありったけの力をおそ松兄さんに送るぞ~~~~~!!って念じるの!」
両眼を閉じて顔に力を入れて「ん゛~~~~~」と念じ始めた十四松に習ってみることにする。
おそ松兄さんに僕の力を・・・
そして、カラ松の封印が解けますように・・・!!
バチバチバチ!!!
「「「っ!!?」」」
突然、おそ松兄さんの手の周辺に起きている電気が大きくなった。
とてもまばゆい光を放っている。
「チョロ松とトド松やってくれたんだ!」
にぃっと口端をあげるおそ松兄さん。
「負けてらんねぇなー!」
うりゃーーーーっとおそ松兄さんが気合の声を上げると松の木の周りを突風がぐるぐると駆け巡った。
辺りの木の葉や土を巻き上げて、それが目に入るのを防ぐために目を細めた。
だけど、かろうじて空いている瞼の隙間からしっかりと見届けた。
ひと際大きな電気が起きて、封印されるときに陰陽師が指で宙に描いたのと同じ文字が浮かび上がった。
それが砕け散って小さな光の粒になって一つに集まると、吸い込まれる様におそ松兄さんの前にその光の粒が下りて来た。
その光の粒をおそ松兄さんが両手でパンっ!とまるで蚊でも仕留めるように叩くと同時にどこからか突然姿を現したカラ松が降って来た。
カラ松が地面に叩きつけられると思って、思わず目を瞑った。