第20章 6人旅(旅行編)
チョロ松side
松の木に触れると色んな記憶がよみがえった。
僕の妖力はお世辞にも強いとは言えなくて、しかも、ぱっと見人間だから妖怪の世界にもなじめず、人に紛れ込もうとして何度も失敗して・・・
行き場をなくしてしまった僕を拾ってくれたのがおそ松兄さんだった。
そして、皆に出会った。
皆僕を必要としてくれた。
幸せだった・・・
だけど、ある日悲劇は起こった。
僕がもっと力を持っていたら・・・
自分の非力を嘆く日が再びやってくるなんて。
いつも遊ぶ四人の中では僕が一番年長だ。
僕がしっかりしていれば一松は迷子にならずに済んだのに・・・
カラ松が封印された後、どんなに雨が降ろうと雪が降ろうとそこから離れようとせず、涙を流し続ける一松を陰で見守ることしかできなかった。
だってきっと、僕が出しゃばれば、一松は僕に気を使ってカラ松のもとを去ることを決めてしまうだろうから。
それは、何よりも一松にとって辛いことだと僕は思った。
だから、何もできない代わりにずっと見守り続けると決めた。そして、死んでもなお、ここに留まり続けることを選んだ。
やっとこの日が来たんだ。
今度こそ役に立たなくちゃ・・・!