第20章 6人旅(旅行編)
おそ松side
絶望にくれる弟達。
こんな時は長男の俺がしっかりしなくちゃだよな!
弟達を少しでも安心させてあげれるように、冷静であるよう努めた。
そして、ない頭をひねって何か策はないかと頭をひねっていると、十四松がスッと手を挙げた。
「はいはいはーい!」
大声を上げた十四松の口を押さえて「しー!」と人差し指を口に当ててみせる。
時間が時間だ、苦情が来かねない。
俺に口を塞がれたまま、十四松が大きく頷いたのを確認して開放してやるとブハッ!と大きく息を吸い込んだ十四松は、その空気を一気に言葉で吐き出した。
「やっぱりおっかしいよ!」
「十四松っ!!」
相変わらず大きな声の十四松と思わず声を上げた俺の頭にチョロ松の拳が降って来た。
十四松は頭をさすりながら小さく謝った。
溜めた息を鼻から吐き出したチョロ松は目元を拭った後、腕を組んで眉間にしわを寄せて言う。
「材料が少ないから、一応聞くけど…十四松、何がおかしいの?」
十四松の話が役に立つとは俺も思えなかったけど、確かに今はどんな些細な情報でも欲しい状況だ。
十四松は立ち上がると一松の隣にしゃがみ込んだ。
そして一松にティッシュの箱を差し出す。
一松と目が合うと十四松は一つ頷いた。
一松も小さく頷いて5、6枚一気にティッシュを引き出すとベチャベチャの顔に押し当てた。
一通り表面の水分を拭き取った後、ズビズビッと鼻をかむ。
すると、十四松は今度は小さなゴミ箱を一松に差し出した。
ティッシュを投げ込もうとする一松の手を目で追いながら十四松は一松に問いかけた。
「妖怪の僕たちは同じなのは顔と名前だけだった?性格は?違った?」
ぼてんっ!
水分をたっぷり含んで重くなったティッシュがゴミ箱の底を叩く音が静まり返った部屋に響いた。
やっぱりこいつの話は役に立ちそうにない。
チョロ松もそう感じたようで困った笑みを浮かべながら小さく溜息を吐いた。
そのため息は聞こえているのかいないのか、一松の返事をワクワクしたように待っている十四松。
そんな十四松とチョロ松や俺とを交互に見ながら一松は困った様子だ。
きっと、十四松の質問に答えることに時間を割いていいのかと俺たちに聞きたいのだろう。
俺は聞いてやれと言う意味で頷いた。