第3章 勇気
チョロ松side
予定通りカラ松に一松を背負わせることができてほっとした・・・
おそ松兄さんがカラ松に一松をおとさせようって言った時は何馬鹿なことをって思っていたけど、カラ松と過ごす時間ができてから一松の変化が目に見えてわかる。
だから、今回のトド松の企画を僕は何気に楽しみにしていた。
さあ、目的地に到着した。
到着したらまず受付でテントを三つ借りて自分達の寝るテントを二人一組で組み立てる。
ここで次の作戦を実行に移す。
「おそ松兄さん、どう分かれる?」
「ん?そんなのいつもの寝るときの並びのままでいいだろ?」
すかさずトド松はおそ松兄さんの腕を、十四松は僕の腕を引いて走り出す。
「おそ松兄さん!早く早く~」
「トド松、お前ちゃんと手伝えよ?」
「チョロ松にいさんっ!僕たちも早くテント張りマッスル!」
「わわっ!ちょ、ちょっと、十四松まっうわあああああああ!!!」
胃が口から出るかと思う速度で十四松に襟をつかまれ引っ張られたことは予定外だったけど、一松とカラ松を組ませることには成功した。
僕達が荷物を置いてテントの張り方の説明書を読み終わったころ、カラ松と一松がやってきた。
カラ松は説明書を片手にテントの材料をざっと並べるとテキパキと組み立て始めた。
「カラ松、テント組み立てたことあるの?」
僕が聞くと「いや、初めてだ」と言いながら黙々と組み立てている。
一松も驚いたようにその姿を眺めていた。
カラ松の姿は男の僕から見ても格好いいと思う。
一松もそんなことを思いながら眺めているのかなと思うと微笑ましかった。
気が付けばカラ松の指示を受けながら一松もテント張りを手伝っていた。
テントの材料を持ち上げた瞬間一松がよろける。
それをすかさずカラ松が支えた。
一松は頬を赤らめて俯いた。
なんか本当にカップルを見ている気分だった。
その光景を他の三人も見ていたようで顔を見合わせていい感じだねと僕は小さく頷いた。
それに答えておそ松兄さんはにかっと笑顔を作る。
トド松はウインクしながらこっそりスマホを向けていた。
十四松は大きくうんうんと頷いていた。