第3章 勇気
カラ松side
一泊二日のキャンプ。
必ず一松から返事を聞き出して見せると俺は燃えていた。
トド松がいくつか作戦を立ててくれているようだった。
その作戦は実はもうスタートしている。
駅に着くと、十四松のハイテンションに振り回され一松がダウンしてしまった。
それを見たチョロ松が俺に背負うよう言ってくる。
俺は一松の前に背中を向けてしゃがんだ。
一松は俺に背負われるくらいなら歩くと案の定噛みついてきたが立てそうになかった。
だが、十四松は相変わらずのテンションだ、背負ってもらうのは気が引けたようだった。おそ松は俺より荷物を持っているしトド松とチョロ松は荷物に加え、一松を負ぶうなんてことできないだろうと判断したのか、観念したように俺の背に乗ってきた。
一松の持っていた荷物は十四松が持つことになった。
背中でぶつぶつと文句を言っているようだったが気にしない。
俺の背に乗っていることだけでも正直奇跡だ。
電車に乗ると当たり前だが一松は俺の背からすぐに下りた。
居心地が悪そうにぷいっとそっぽ向いた一松におそ松が言う。
「一松、カラ松になんか言うことあるんじゃないのか?」
視線を上げた一松におそ松が無言で俺の方を顎で指した。
一松は再び視線を逸らすと外に向かって「ありがとう」と言ったようだった。
「おい、一松!お礼くらいちゃんと言ってやってもいいんじゃないの!?」
チョロ松が怒ったが俺はそれをまあまあと制して言った。
「いいんだチョロ松、ちゃんと聞こえたから」
そういう俺の顔を見てチョロ松がぽかーんとしている。
すると横からおそ松が肩を組んできて俺の耳元で囁いた。
「お前、窓に映ってる自分の顔見てみ?」
そういわれて窓に目を向けると、窓に映る俺の顔はサングラスをしているにもかかわらず緩みまくりなのが見て取れた。
「一松にお礼言われただけなのにそんなにうれしいのね?同じ兄弟なのに一松だけそんなに大事に思われてるのかと思ったらお兄ちゃん妬けちゃうなぁ~」
俺は照れ隠しで「気持ち悪ぃ!」とおそ松を払いのけた。