第20章 6人旅(旅行編)
ホームに降りると、とりあえず集合した。
そして、僕が代表で集めていた乗車券を皆に配る。
未だ眠っている一松の分はカラ松に託した。
駅を出た僕たちはトド松を先頭に歩き出す。
トド松が予め予約しておいた旅館に案内してくれるようだ。
田舎の方で、小さい道が多く迷ったりしながらだったけど何とか旅館にたどり着いた僕たちは受付を済ませ、部屋へと案内された。
部屋は12畳と大人6人でも十分な広さだった。
僕たちは荷物を置き、カラ松の背中で相変わらず眠り続けている一松を起こすと、外の空気で冷え切った体をとりあえず温めようと、備え付けの浴衣を手に大浴場に向かった。
無名だけれどこの辺も温泉が出るようで、この小さな宿も温泉を売りにしている。
大浴場はまだ昼過ぎということもあって、貸切状態だった。
いつものように一列に並んで背中を流し合い、順に湯船に向かう。
肩まで浸かると一番冷え切っていた指先はジンジンとした。
「あ゛あ゛〜〜〜」と気持ち良さから勝手に声が漏れる。
その声と共に、旅の疲れも抜けて行くように感じた。
湯船の端にふと目をやるとカラ松と一松が何やらやり取りをしていた。
「一松は俺に抱かれるのをご所望なんだろう?」
そう行って腕を広げるカラ松に一松は眉をよせて「何の話?」と不機嫌に答えていた。
不思議そうな顔をしたカラ松が僕の名前を出すのを聞いて、慌てて目をそらした。
そして、僕の言葉を一部カラ松の脳みそが勝手に変換していることについて心の中で突っ込んだ。
背中に刺さる視線が痛かった。