第19章 十四松の願い
「僕、初詣の時、両手を合わせて一生懸命ブツブツ願い事言ってる一松を見た気がするんだけどなぁー」
「僕も僕もー」
とチョロ松兄さんに続くドド松。
追い詰められて今にも一松兄さんがお尻を出してしまうんじゃないかと言う頃、ようやく襖が開いて餅や醤油をお盆に乗せたカラ松兄さんが戻って来た。
そして、一松兄さんからおそ松兄さんを引き剥がすと、お盆をコタツに置いて一松兄さんを抱き込んだ。
「おそ松!一松に何をしたんだ!」
一松兄さんはまた兄弟にいじられるのを恐れてか、カラ松兄さんに悪態をつきながらジタバタと暴れていた。
「何も悪いことなんかしてないって!ただ、初詣の願い事が何だったのか聞いただけだっつーのー」
自分の席に戻りながら口を尖らずおそ松兄さんにカラ松兄さんは「そうだったのか、疑ってすまない」と謝りながら、再びお盆を手に立ち上がるとストーブの上に網を置いて、6人分の餅を並べた。
それを見ていたチョロ松兄さんが礼を言う。
「カラ松、ありがと。ところでお前は何をお願いしたの?やっぱり一松の事?」
「当たり前だ!一松と俺の明るい未来を願って来た!」
両手を広げて無駄にいい声で発表するカラ松兄さん。
おそ松兄さんは、たはーっと笑いながら頭を抱えている。
「そういうチョロ松は何をお願いしたんだ?」
「僕?僕はもちろん就職できますようにって」
「あー、無理無理、チョロちゃんは兄弟の中で一位二位を争うくらい就職向いてないから!もっと現実的なのお願いしなきゃ〜」
そう言うおそ松兄さんに目くじらをたてるチョロ松兄さん。
「はぁ!?お前に言われたかないわっ!って言うか、そう言うお前の願い事もどーせくだらないんでしょ?カリスマレジェンドになれますようにとかそんな非現実的なのでしょ、どうせ!」
「甘いね〜、俺の願いはもちろん!!」
そう言って人差し指を天井に向けて自信満々に立ち上がったおそ松兄さんは、自信満々に答えた。
「宝くじ一等当たりますように!!」
「ほーらやっぱりクズの考えることはくだらない」
「ホント、こんなのが自分の兄だと思いたくないねー」
そう言ってスマホ片手に頬杖をついて呟くトッティーに兄さん達の視線が集中する。
「そう言うお前はどうなの?どーせできもしない彼女が欲しいとかそんなだろ?」
「それこそくだらない!下心の塊!やだわぁ〜」