第18章 二人きりのクリスマス(クリスマス)
包装紙の下から現れたのは黒い箱だった。
そっとその箱を開けるときらりと輝くものが目に入る。
「ほう・・・ちょう?」
柄までステンレスのシルバーで清潔感のある包丁だった。
刃の根元のあたりには商品名らしい英字と猫のシルエットが黒く掘られている。
「一松の作る料理にすっかり胃袋を掴まれてしまってな・・・これからも、俺の為にその腕を振るって欲しい」
そう言ってくしゃっと髪を撫でられて、恥ずかしさから落とした視線の先に、包丁に映る自分の顔は幸せそうで・・・
また、こんなにカラ松に幸せにしてもらっていると改めて感じる。
俺は包丁を手に立ち上がった。
どこに行くのかと言うカラ松に、待っているよう言って洗面台に向かった。
俺は包丁を軽く洗って、水滴を切ってカラ松の元に戻る。
「早速、更に胃袋鷲掴みにしてやるから覚悟しなよ」
そう言ってヒヒッと笑って見せた俺はケーキに包丁を入れた。