第18章 二人きりのクリスマス(クリスマス)
慌てて振り向くとそこにはカラ松が居て、カラ松は掴んだ俺の腕からするりと掌に己の掌を滑り込ませてもう片方の手で俺の腰を抱き寄せた。
「なっ!」
慌てて身をよじろうとしたがカラ松が穏やかな眼差しで俺の瞳を見つめた後、俺の視線を導くように巨大ツリーの方に視線を移した。
俺は抵抗を止めてカラ松の視線を追う。
「3!2!1!メリークリスマーーーーース!!」
そしてカウントダウンの声は感動を纏う。
ツリーが、否、周辺の光全てが消えたかと思ったらツリーの下の方からパーーーっとライトが点灯していき、ツリーの上を小さな光の粒が踊るように点いたり消えたりを繰り返して幻想的だ。
そして天辺の星に光が灯ったと同時にツリーを囲むように仕掛け花火が駆け抜ける。
バチバチバチと言う小気味良い音が耳を支配し、カラフルなLEDと火花が観客達の瞳を綺麗に輝かせていて、俺は思わず恋人の瞳に視線をやる。
そしたら、その瞳が映すのはLEDでも火花でもなくて俺の姿で・・・
あぁ、何でこいつは・・・
俺、こんな幸せで本当にいいのかな?
こいつの心も瞳も全部を俺が独り占めしていいのかな?
そしてやっぱり俺はこいつの唇も独り占めした・・・
サンタさん、ありがと・・・