第18章 二人きりのクリスマス(クリスマス)
改めてメリークリスマスと声をそろえて、全員がケーキにかぶりつく。
甘いクリームにフルーツの酸味がちょうどよかった。
ケーキを食べ終わると、チョロ松が立ち上がって食器を片付け始める。
「父さん母さん、片付けは僕達でやるからゆっくり休んでよ」
チョロ松の後に続いて片づけを始めた十四松が続ける。
「僕達からのプレゼント、さっそく使ってみてね!!」
「ありがとう」と声をそろえてプレゼントのパジャマを手に二階へ向かう父さんと母さん。
久しぶりに見る幸せそうな二人の背中を見送ってチョロ松に問う。
「あのプレゼント、俺達からって・・・俺、金出してないけど?」
ま、出す金は無いんだけどねと思っているとチョロ松から意外な言葉が帰って来た。
「僕達からと言っても、ほとんどおそ松兄さんのお金なんだけどね?」
「え?」
「この前、パチンコで勝ったでしょ?旅行の費用に全部充てるのもいいけど、たまにはこういう使い方してもいいんじゃないかと思って」
「旅行の費用から出してるんだから、僕のバイト代も入ってるんだけど~」
そう言ってトド松は口をとがらせていた。
皿を運ぶ兄弟を眺めてビールを飲みほしているとトド松が空になった缶を受け取るために手を伸ばしてくる。
「サンキュー」
空き缶を受け取ったトド松は相変わらず口を尖らせている。
「もー、手伝わないんだったらちょっと二階に行ってきてよ?」
「え~、何で?」
トド松は分からないかなぁ~とお盆に使い終わった食器を重ねて言う。
「カラ松兄さんと一松兄さんだけで出て行ったら不自然でしょ?全員でイルミネーション見に行ってくるって母さんたちに言ってきてよ」
カラ松が行けばいいじゃんと言う俺に「僕達の作ったご飯散々食べといてそのくらいやってよ」とトド松が俺の尻をべしべしと叩く。
俺はそれに促されて立ち上がり、二階に向かった。
父さんと母さんはプレゼントのパジャマに袖を通し、ニコニコと布団を敷いている所だった。
全員で行くといった夜の散歩はあっさり承諾された。
俺の後についてきた十四松は自分たちの部屋に向かうと全員分のコートやマフラーを担いで出てきた。
俺はそれを半分受け取り居間に向かう。
カラ松と一松が洗いものを終えるのを待って俺達はそろって家を出た。