第17章 初めてのクリスマス(クリスマス)
「め、メリークリスマス・・・」
振り向くと
ほんのり頬を染めた一松が立っていた。
俺は言いたい事が沢山あり過ぎて、言葉にならず、とりあえず力いっぱい一松を抱きしめた。
「苦しいんだけど・・・」
俺はそこでやっと「メリークリスマス」と言葉を発して、一松を解放した。
「一松、嬉しいぞ!!」
「そ・・・」
「あの、一松」
一松は無言で俺を見上げる。
その可愛さに堪らなくなって触れるだけの口づけをして、顔の距離はそのままに一松にだけ聞こえる声で囁く。
「俺からもプレゼントがあるんだ・・・今夜俺の時間を貰ってくれないか?ふたりきりで過ごしたいんだ」
一松は更に顔を赤く染め上げると、「考えとく」と一言、逃げる様に台所へと消えていった。
暫くするとおそ松と十四松も二階から降りてきて、匂いに誘われ台所に入ろうとする二人を慌てて止めた。
三人そろうと、直ぐにチョロ松がご飯とみそ汁を食卓に並べてくれる。
俺達は漂う匂いとは裏腹に、いつも通りの朝食を取った。
台所にへ入れないのは父さんと母さんも同じで、二人は夕飯を作らなくていいのならばと、今日は二人で外で過ごすことにしたらしく昼前に出て行った。
おそ松はクリスマスだから出る予感がするとパチンコに向かった。
俺も誘われたが、一松の作ってくれるクリスマスディナーをたっぷり食べるために十四松の野球に付き合う事にした。