第17章 初めてのクリスマス(クリスマス)
12月25日
カラ松side
目覚めるといつも迎えてくれる可愛らしい寝顔はそこにはなくて、代わりに見慣れない袋を抱いている事に気が付いた。
俺はバサッと布団を捲る。
「こ、これは・・・」
高鳴る胸を押さえてがさがさと紫色のリボンを解いた。
中から出てきたのは藍色のひざ掛け。
広げると、隅の方に白い二匹の猫が寄り添っていた。
全体には雪を思わせる白いどっと模様。
目頭が熱くなるのを感じながら、堤の袋とリボンを再び手に取り、ひざ掛けと共に抱きしめた。
そこで何やら固い感触に気づいて袋の中を覗くと、猫の形をしたカードが入っている。
俺はメッセージカードだと気づき、思わぬプレゼントに、堪えきれず、涙を流しながら袋に手を突っ込んだ。
カードを裏返すと見慣れない文字が並んでいる。
「ん?う、Will it snow tonight. Warm me up.」
文法とかはよくわからないが、単語の意味から察するに今夜は雪が降る、私を暖めてという意味であろうことは察しがついて、胸が熱くなった。
皆の見ている前でイチャイチャするのは一松は嫌がるだろう。
と言う事は二人きりをご所望なのだろうか?
深読みしすぎかもしれないがどちらにせよ、一松の気持ちがとても嬉しかった。
そこで、ようやく俺は部屋を見渡す。
布団にはおそ松と十四松もいた。
チョロ松とトド松と一松の姿が無いが、一階からにぎやかな声が聞こえている。
俺は身震いしながら私服に着替えると、ひざ掛けを手に一階に向かった。
「皆!聞いてくれっ!俺のもとにサンタが来たんだ!」
すると、居間の襖が開いてトド松が顔を出した。
「メリークリスマス、カラ松兄さん!居間に入るのは良いんだけど、台所は絶対に除かないでよ!?」
「あ、ああ・・・」
居間を覗くと、うまそうな匂いが漂っている。
しかし、台所に続く戸はしっかりと閉められていて、中を窺う事は出来なかった。
一松に会えない事に肩を落とすと、トド松が溜息を一つ「まってて、一松兄さん連れてくるから」と、トド松は俺の体を台所と反対側に向かせた。
俺は振り向かないようにトド松に礼を言うと、直ぐに一松がやってくる。