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【おそ松さん】色松恋物語(BL長編)

第17章 初めてのクリスマス(クリスマス)


トド松side


一松兄さんの相談に乗っていたら、突然肩を掴まれて驚いた。
一松兄さんは何も言わずにだばだばと涙を流して怖い顔をしていたけど、しばらくしたら立ち上がって、迷いなく歩き始めた。

たどり着いたのは猫の雑貨を多くそろえてある店。
一松兄さんはマグカップとイヤーマフとひざ掛けの前でしばらく悩んでいたけど、結局ひざ掛けにしたようだった。
レジでプレゼント用に包装してもらう。


それを見つめる横顔は幸せな未来を見ている様で、僕も嬉しくなった。


包装が終わるのを待つ間、店内を見ていると猫の形をしたメッセージカードを見つけた僕はそれをレジ横に立つ一松兄さんに渡した。
「メッセージなんて恥ずかしいからいいよ」と言う一松兄さんの背中を押して強引に購入させた。

店を出ると一松兄さんはまだメッセージなんて書けないとブツブツ言っている。

「日本語にするから恥ずかしいんだよ」

「え?」

「目の前で読まれたら恥ずかしいんでしょ?だったら英文にしてしまえばいいでしょ?」


一松兄さんは少し難しい顔をした。
きっと、英文なんて書けないと思っているんだろう。
僕はスマホをポケットから取り出す。

「僕に任せて♪」





うちに帰ると、カラ松兄さんは買い物に、おそ松兄さんはパチンコに出かけたらしく、チョロ松兄さんと十四松兄さんだけだった。

一松兄さんの手に似つかわしくない可愛い袋が握られているのを見てチョロ松兄さんがきょとんとする。

「一松、それ何?」

「え、あ・・・何でもない」

僕は恥ずかしがる一松兄さんの手を取って、チョロ松兄さんと十四松兄さんに見せびらかすようにショップの袋を掲げた。

「カラ松兄さんにクリスマスプレゼント!」

「ちょっ、ちょっと!トド松!!」

顔を真っ赤にした一松兄さんは力いっぱい腕を振り解くと、自分の箪笥をがさがさとあさり、奥の方にプレゼントを忍ばせて、部屋の隅に蹲った。


僕もチョロ松兄さん達の前に座って、クリスマスディナーを作る話をチョロ松兄さんに相談する。

「いいんじゃない!?」
「わーい!ローストチキーン!!」

デパートで買ってきたレシピ本と料理教室で貰ったレシピを除きながらチョロ松兄さんが言う。

「何だか、今年のクリスマスは楽しみかも」
ニコッと微笑むチョロ松兄さんに僕も十四松兄さんも大きく頷いた。
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