第16章 写真
十四松side
僕は素振りの練習を終えて河原に大の字になって寝そべっていた。
そしたら、川の向こう側をカラ松兄さんと一松兄さんが歩いていくのが見えた。
声を掛けようと思ったけど、カラ松兄さんが一生懸命話している横で幸せそうにしている一松兄さんを見て呼び止めるのを止めた。
それからしばらくして、水面をはねる魚を追って泳いでいたら仲良くラーメン屋さんに入っていくおそ松兄さんとチョロ松兄さんを見かけた。
声を掛けようと思ったけど、口の中が魚で一杯だったから声を掛けれなかった。
僕も、お腹が空いて来たし家に帰ろうかなと思って、元居た河原に戻る途中、コンビニから出てくるトッティーを見かけた。
「トッティー!」
今度こそ声をかける。
トッティーはどこから声が聞こえたのかわからなくてキョロキョロしてたから、もう一度声をかけた。
「トッティー、こっちこっちー!」
すると、ガードレールの上からトッティーがひょっこり顔を出した。
「ちょっ!十四松兄さん、こんな寒いのに、風邪ひいちゃうよ!?何やってんの、早く上がって!」
「だいじょーぶだいじょーぶだよぉ~」
だけどとってぃーは僕の手を引いてすぐ傍の古着屋さんにやって来た。
そしてワンコインの服の中から着る物一式を選んできてくれて、財布を持っていない僕の代わりにレジで支払いを終えると、服ごと更衣室にぶち込まれた。
着替え終えて外に出ると、トッティーがスマホを片手に待ってくれていた。
「お待たせしましタイムリー!ところでトッティーは何してたの?」
「うん、スマホの中の写真がね、一杯だったからプリントアウトしてきたんだ♪アルバムも買ったから年末に皆で思い出を振り返ろうと思って!」
「それいいね!」
「でしょ?」
その瞬間、僕のお腹の虫が盛大に鳴った。
僕とトッティーはお腹を抱えてしばらく笑った。