第15章 スイートよりビター
おそ松side
一松は俺に昨夜の事を聞かれると思ったのか一人で家を出た。
カラ松は置いて行かれて涙に鼻水までだーだーと流して子供みたいに駄々をこねていた。
「俺も一松と行きたい!行きたい!行きたい~~~~~!!」
あまりにも煩いので押し入れから枕を適当に一つ出してきてカラ松の顔に押し当てた。
「あ゛ーーーーもう、うるせぇーな!飯の時間になったら帰ってくるだろ!それに、毎日寝ても覚めても一緒にいるじゃん」
「もがもがっ!ふんがふが、うがぁーーー!」
俺に枕を押し当てられて何を言っているのかわからなかったけど適当に「あー、はいはい」とあしらい、落ち着いたところで枕から手をどかした。
カラ松は「ぶはっ」と大きな口を開けて息をした後、再び枕に顔を埋めて「いちま~~~~つ」と、ふにゃふにゃした声で言っているのを聞いて、その枕が一松の物だったのだと気づいた。
俺は溜息を一つ、いつもカラ松が腰を掛けている窓際に腰かけた。
丁度見えなくなろうとしている一松の背中を窓の外に見て、カラ松に問う。
「ねー、昨日は一松とどこに泊まったの?」
「はぁ?」
カラ松は何をわかり切ったことを聞いているのかと言う様な声を上げて、俺の傍に来ると、俺の視線を追ってまた、ぐすんと鼻を鳴らした。
「おそ松、人生の先輩として言わせてもらう・・・ラブホは良いぞ!」
俺は手に持っていたパチンコの雑誌をカラ松に投げつけた。
「何かむかつく~」
「そう言ったって、童貞を卒業したのは兄弟で俺だけだ」
「あれ?一松は」と言いかけたところでどういうことかを察した。
「へぇ、お前がタチで一松がネコって役割決めてんの?」
「決めてはいない、自然とこうなったんだ」
カラ松は一松の事は諦めがついたのか、俺の目の前に胡坐をかいて座り込んだ。
「一松はそれで納得なの?カラ松に犯されるとか、今までのあいつからは考えるとプライドが許さなさそうだけど?」
今まで一松はカラ松に少しでも絡まれれば手を上げるし、カラ松が少しでも出しゃばろうものなら視線だけで殺してしまうのではと言うほどだ。
そんな一松がカラ松にやりたい放題されているのは少し想像しがたかった。
・・・かと言って、カラ松が下ってのも想像つかないけど。
「一松は何も言わないが・・・嫌なんだろうか?」
カラ松は心配した様子だった。