第15章 スイートよりビター
それは、今後の俺達の事だ。
一松はどう思っているか知らないが・・・
いや、きっと同じように思ってくれていると思うのだが、この先もずっと一緒に居るつもりだ。
そこで出てくる一つの問題。
それは、親に話すか話さないかと言う話だ。
俺は正直、今話したって構わないと思っている。
ただ、一松はそうは思わないだろう。
臆病な一松の事だ、もしかするとこの先も話すつもりはないかもしれない。
そうなったときの事を俺は入院中考えていた。
親に話さなかったとして・・・
俺は一つだけ大きな問題があることに気が付いた。
その壁にぶち当たる確率は低い。
・・・低いと信じたい。
それは、俺か一松が親よりも先に死ぬという状況。
そうなった時、俺達の関係を隠している以上、他の兄弟と同じ様に涙を流したり、最後の別れで手を握ったり、肌に触れたり抱きしめてやったり、別れの言葉をかけてやることは許されるかもしれない。
だけど、それ以上の事は出来ないのだ。
兄弟としての別れはできても、恋人としてのそれは叶わない。
キスも口づけも愛を囁くことも許されない。
そんな最後は迎えたくないし、迎えさせたくない。
俺はすやすやと寝息を立てる一松を見やる。
今度ゆっくり話す必要がありそうだ。
そして、一松が両親に打ち明ける決心をした時のために俺も心の準備と身の回りの準備をしておかないとな・・・
俺は大きく息を吐いて深く目を閉じた。