第15章 スイートよりビター
チョロ松side
カラ松が帰って来た。
そして目の前で泣いている。
というのもかえって来て一松とともに二階に上がってきたカラ松は半ば無理やり一松に部屋に押し込まれた。
そして、一緒に居たいと言うカラ松に一松は、僕達に調教した時のあの顔、あの声で・・・
「俺と最高の時間を過ごしたいんだろ?」
「もちろんだ一松っ!」
「一松ぅ~?一松様だろ?」
「は、はいっ・・・一松様っ!」
「だったら俺が良いと言うまでここから出てくるんじゃねぇぞ?わかったな?」
「ああ、わ、わかった」
「ああ、わかったぁ~?畏まりました一松様、だろ?」
「畏まりました一松様っ!」
「仰せのままにいたします一松様」
「仰せのままにいたします一松様!」
そこでぱたんと襖が閉まった。
「ねぇ、お前と一松ってさ・・・僕、主導権握ってるのてっきりお前だと思ってたけど一松なの?」
「主導権?俺はいつも一松の意見を優先して」
「そうじゃなくて・・・えっと、夜の方」
「それは勿論俺だ!」
兄弟のそういうところを想像しそうになって吐き気を催した僕は読んでいた本を閉じて気晴らしに、下にいるであろう弟達のもとに向かった。
台所に行くとエプロンを付けたトド松と一松が居た。
「カラ松を閉じ込めたのはこういう事だったんだね?」
一松は少し顔を赤らめて俯いた。
テーブルの上には卵と砂糖とバニラエッセンスなんかが並んでいた。
「てっきりから揚げでも作るのかと思ったけど・・・お菓子?」
「うん、プリン・・・前にカラ松に食べたいって言われたから」
それをトド松が目をらんらんとさせて聞いている。
「ねえ、一松兄さん、前に猫の治療費を稼ぐ代わりに恋バナ聞かせてよねって話したよね?」
「えっ!う・・・うん」
「それ、今聞かせてよ!あ、チョロ松兄さんが聞くのはずるいから、チョロ松兄さんもここには来ないで!」
僕はあっという間に台所から追い出されてしまった。
行き場を失った僕は久しぶりに十四松の野球に混ぜてもらおうと思って外に出た。