第15章 スイートよりビター
暫くするとチョロ松兄さん、トド松、おそ松兄さん、十四松の順に次々と兄弟が下りてきた。
「おはよう一松、珍しいね?お前が一番に起きるなんて」
「一松ぅ~、遠足当日の小学生か?」
「はぁ!?」
「そっか、今日カラ松兄さん退院だもんね」
俺はキッとおそ松兄さんとトド松をにらみつけた。
十四松が俺の機嫌を取ろうとしているのか、俺の向い側に勢いよく座ってオーバーに両腕をブンブン振りながら
「一松兄さん、早くご飯食べてカラ松兄さん迎えに行こう!」
と大声を上げるからチョロ松兄さんに口を塞がれていた。
トド松は俺と少し距離を取って座る。
おそ松兄さんは相変わらずニタニタと俺を見ながら隣に座り込む。
「うお~~~~、炬燵あったけぇ~」
俺は「でしょ?」とおそ松兄さんに掌を差し出した。
おそ松兄さんはけっと言いながら俺の手を弾く。
そこでいつもと何か違う気がしておそ松兄さんを見つめた。
「え、何?一松、俺の顔に何かついてる?」
「いや、何か・・・いつもと違くない?」
「そう言われてみれば・・・」
とチョロ松兄さんもおそ松兄さんをまじまじと見ている。
「あ、わかった!」
俺はおそ松兄さんの頭を指さした。
「今日は寝癖がない」
「いや、あるよ」
「え?」
今度はチョロ松兄さんがおそ松兄さんの頭を指さす。
いつも後頭部に酷い寝癖を付けているおそ松兄さん。
今日は珍しく右側頭部に酷い寝癖を作っていた。
同じ髪形をしているというのにいったいどうやったらそんなひどい寝癖になるのだろうかと改めて不思議に思いながら運ばれてきた食事に手を合わせた。
朝食を済ませた俺を十四松が早く早くと二階へ引っ張って行く。
その後をトド松がついてきていた。
食事の際、トド松と十四松がカラ松を迎えに行くと言うので、またからかわれるのも嫌だし俺は行かないと言ったら無理やり迎えに行くメンバーに入れられてしまった。
おそ松兄さんは新台入荷日だからヤダと即答。
チョロ松兄さんは迎えにそんなに大勢で行くのもなんだからと留守番して待っているということになった。
俺達は着替えを済ませて玄関に向かう。
するとパタパタと廊下を走ってくる音が聞こえて振り返った。