第13章 働く六つ子(バイト編)
病室に戻って、ベッドの前まで来た俺と一松はもう一度廊下に出た。
「俺の病室であっているよな?」
「うん・・・でも、あれ・・・」
ベッドに戻った俺達はその横に敷かれている付添人用の布団に唖然とした。
おそ松の姿が見当たらないところからしておそ松は帰ってしまったらしい。
一応ナースステーションに確認しに行ったら一松の名前で宿泊予約がしてあった。
「おそ松に一杯食わされたな」
「ちっ、余計なことを・・・」
「泊まるのは嫌か?」
一松の顔を覗き込もうとしたが夕飯を買いに行くと言って逃げられてしまった。
俺はベッドに腰かけ、足元に敷かれた布団に目をやる。
「おそ松・・・拷問だぞ?」
俺はこれから襲い来るであろう誘惑を想像して目を閉じて唸った。
一松とともに夕食を済ませ、煮干しを貪りながら二人でテレビを見て笑いあった。
そんな幸せな時間もあっという間に過ぎ、消灯時間を迎える。
俺達は布団にもぐりこんだ。
三十分が経つ。
眠れない!!!
一週間くらいならまぁ、我慢できる。
だけど、こういう状況は逆に意識してしまって目も俺の俺もギンギンだった。
下半身に伸びそうになる手を胸の前で固く組んで耐えていると一松がもぞもぞと動いているのが分かった。
(一松も起きているのか?)
そう思って声をかけようとした時だった。
ベッドがきしみ、布団の中から一松がひょっこりと頭を出した。
「ぶっ!!!」
思わず噴き出した俺の口を一松が抑える。
「す、すまない、急だったから驚いて・・・」
しかし、何も言わずに一松は瞼を伏せたまま俺の組んだ腕の触れる。
「我慢・・・してるでしょ?」
「い、いちまt----!?」
一松に口を口で塞がれて言葉が途切れる。
それだけでも考えられない展開なのに、更に一松の舌が俺の口内に侵入してチロチロと俺の舌を誘ってきた。
俺は目を見開いて一松を見やる。
一松は相変わらず瞼を伏せて薄く開かれたそこから切なげに俺を見つめていた。
血液が自身に集まっていくのが分かり俺は慌てて一松を引きはがした。
「す、すまない一松っ!しかし、このままじゃ俺は・・・」
「カラ松、やらせて?」
「し、しかし一松・・・」
俺は構わないが、それでは一松がまた傷ついてしまう。
また媚薬でも飲まされたのではと俺は一松の考えている事が読めずにいた。