第13章 働く六つ子(バイト編)
カラ松side
一松は顔を真っ赤にして先に行ってしまった。
「恥ずかしがり屋な子猫ちゃんだぜ」
俺も立ち上がり一松の後を追った。
しかし、痛む傷と点滴が邪魔をするので歩くのがスローな一松にも追いつけないかもしれないなと思いながら階段に続く扉を開けた。
「一松・・・待っていてくれたのか?」
扉を開けると一松が壁にもたれて立っていた。
まだほんのり赤い顔を伏せてこちらに手を差し伸べてくる。
「お前みたいに力はないけどその点滴ひっかけるやつ持つくらいはできるから」
「ありがとう、一松」
俺は一松の好意に甘えることにして手すりに摑まると点滴スタンドを一松に渡した。
「ごめん、そんな体のカラ松をここまで歩かせて」
「俺が好きで追いかけてきたんだ、気にするな。さ、おそ松が待っている、外も暗くなったしブラザー達も銭湯に行くのを待っているかもしれん」
そう言うと少し寂しそうな顔をする一松に俺は少し胸を締め付けられる。
と同時に俺と居る時間を良いものだと思ってくれているのだと思うと嬉しくて口元が緩む。
「何笑ってんの?」
「一松、明日も見舞いに来てくれないか?」
「・・・仕方ないね、いいよ」
照れ隠しか、一松は卑屈に笑って見せた。