第13章 働く六つ子(バイト編)
カラ松side
サンシャインが傾き病室の窓から顔を出す。
俺はサングラスを掛けた。
「どこまでも俺を追いかけてくるんだな、今日一番に俺に見舞いに来てくれたのはお前だぜ、サンシャi」
そこで病室の扉が開いた。
・・・そして閉まった。
「ちょっ、う、ウェイト!ウェイトだ、おそまぁああつ!いちまぁあああつ!」
すると再び扉が開き、不機嫌な顔でこちらをにらみつける。
「ねぇ、病室で何でサングラスなの?恥ずかしくてこんなとこ居られないんだけど?」
「すまないっ!今外すから!!」
俺はサングラスを外し、サンシャインに直で瞳を射抜かれて倒れた。
それを見ていたおそ松が腹を抱えながらカーテンを閉める。
「カラ松ぅ~、あんまイタイ事してると一松怒って帰っちゃうよ?」
「イタイって何の事だ?」
ギルトガイな俺はまた不本意に一松を傷付けてしまったらしい。
とりあえず一松に謝るがスルーされて紙袋を渡された。
「んっ」
胸元に紙袋を押し付けられたのでとりあえず受け取る。
中には着替えと未開封の煮干しが入っていた。
「ハニー、これは?」
俺は煮干しを取り出し尋ねた。
すると一松は顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまう。
「おっ、一松気が利くじゃん!ちゃんとお見舞い持ってきてたんだな?」
「お見舞い!?そうなのか一松!嬉しいぞ!ありがとう!」
煮干しというのが一松らしくて顔がほころぶ。
本当に可愛い奴だ。
一松の顔を覗き込んで微笑んでいると今度はおそ松が歩み寄ってきた。
「はい、カラ松、これは俺から♪」
「おそ松からもあるのか!?意外だな、ありがとう!」
そう言って受け取った買い物袋を広げる。
「あ、あの・・・おそ松、これは何だ?」
中に入っていたのはおそ松の使用済みか、少しくたびれたエロ本だった。
「何って、処理するのにおかずがいるだろ?」
一松の前でなんてもの渡すんだと俺は心の中で叫んだ。
案の定一松はエロ本と俺の顔を悲しそうな顔で交互に見ている。
「おそ松、悪いが俺には必要ない」
そう言っておそ松に付き返したがおそ松は布団をめくってその中にエロ本を放り込んだ。
「遠慮しなくていいって~、ため込んでんのはお兄ちゃんお見通しよ?体に悪いっしょ~?」
その時だった。
一松が持っていた上着を俺の顔に投げつけ病室を飛び出してしまった。