第13章 働く六つ子(バイト編)
トド松side
刑事さんが高木の部屋にあった写真を二十枚ほど並べた。
その中にズタズタに傷つけられた写真が何枚かあった。
刑事さんがズタズタになった所を指さしてこれは誰かと尋ねる。
その横には一松兄さんの姿。
一松兄さんはカラ松兄さんであることを告げた。
ズタズタにされたことに心当たりはあるかと尋ねられて、一松兄さんは高木がカラ松兄さんを殺したいと言っていた事を話していた。
ゾッとした。
殺意があってカラ松兄さんにナイフを刺したんだと知って、カラ松兄さんが生きていた事に改めて胸を撫で下ろした。
そこで刑事さんは更に掘り下げる。
「カラ松さんが殺意を持たれた心当たりは?」
一松兄さんは機転を利かせて「俺と仲良いからかも」と答えて恋人同士であることを伏せた。
けど年配の刑事さんがそれだけかと聞く。
その表情は明らかに何かを探っている様で、ニタニタとしていた。
一松兄さんは戸惑ったように台所の方に目をやる。
台所では母さんが夕飯の支度をしていた。
するとおそ松兄さんが刑事さんの手からペンと手帳を取り上げる。
「ちょっ、ちょっと」
おそ松兄さんは手帳にさらさらと何か書いてポイッとテーブルに投げ捨てるように返した。
刑事さんはその手帳と一松兄さんの顔を交互に見た。
一松兄さんは視線を逸らしていた。
刑事さんは楽しそうに「へ~」と声を上げる。
それを見てイラっとする。
きっと、高木の証言で一松兄さんとカラ松兄さんが恋人同士なのを知っていたのだ。
刑事さんはおそ松兄さんが書いた部分を一松兄さんに見せる。
そこには『カラ松と一松は恋人同士、親には秘密ね』と書かれていた。
「ここに書いてある事は事実?一応、本人の口から聞かないといけないから答えてくれないかな?」
「事実だけど?」
すると、年配の刑事が鼻で笑って言う。
「君、知っているかい?同性は今後可能にはなるかもしれないが、兄弟でけっk」
ダンッ!!
テーブルに置かれたお茶がゆれた。
物凄い剣幕のおそ松兄さんに刑事さんだけじゃなく僕達も肩を震わせた。