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【おそ松さん】色松恋物語(BL長編)

第13章 働く六つ子(バイト編)


一松side


チョロ松兄さんとトド松が友達の病院代を稼ぐためにバイトの面接に出かける。

正直、自分ではこの短期間でそれをまかなえるだけの金を稼げそうになかったから本当に助かる。
申し訳ない気持ちもあるけれど、二人とも引きそうになかったし、とりあえず面接に行く二人を玄関先まで見送ることにした。
これが今の俺にできる精いっぱいだと思った。

玄関まで行くと、靴を履いたトド松が振り返って言った。

「ちゃんと恋バナ聞かせてよね?」
「は!?・・・恋バナって何!?」

質問には答えずにトド松はニコニコと出て行った。
チョロ松兄さんは「僕もね?」と同じくニコニコしながら行ってしまった。
友達のためには面接受かってくれた方がいいけれど・・・


「恋バナって・・・カラ松との事・・・だよね?」

ボフンッと音を立てて自分の顔が真っ赤になるのが分かった。
ぶんぶんと頭を振ってその赤を振り払う。
俺は気分転換に十四松と遊ぼうと思って十四松を探しに出かけた。



いつも十四松が素振りをしている河原にやってきた。
いつもなら聞こえる数を数える声はない。

「帰っちゃったのかな?」

帰るには一時間ほど早いよなと思いながらあたりを見回していると河原に座り込む人影を見つけた。
野球のユニホームではなく、兄弟とお揃いで持っているスカイブルーのスーツを着た十四松だった。
俺は近くまで歩み寄った。

「十四松?どうかしたの?」

俺の声に十四松は心底驚いたようだった。
肩を震わせて振り向く。
俺はやはりなんかあったんだろうと思い、十四松の横に座り込んだ。
そして何も言わず薄く開いた眼でジッと十四松を見つめる。
その視線に耐えかねた十四松は「な、なあに!?一松兄さん?」とはわはわと口をぱくつかせる。

ほんと、わかりやすいな、こいつ。
そういうところ嫌いじゃない。
だからこそこいつの傍は居心地がいい。

「何かあったんでしょ?隠しても無駄、顔にそう書いてある」
「え!?どこどこっ!?」

そう言って十四松はペタペタと顔を触りながら川沿いに走って水面に映った自分の顔を確認している。

「何も書いてないよ!?」

本気で書いてると思ったんだろうかと思わず笑ってしまった。

「俺には見えるの・・・で、何があったの?」

十四松は俺の隣に足を投げ出して座ると夕日に照らされる川を見つめて話し始めた。
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